牛タンのカレー

2017 December

牛タンのカレー牛タンのカレー

インタビュー:YOSHIKO ITO

YOSHIKO ITO:生まれて初めて外でカレーいただいたのが、おじいちゃんに連れてって行ってもらったデリーなんです。

鈴木貴久:へぇ~そんなつながりが。

湯島にいらっしゃいましたか?

いました。入ってすぐに湯島にいたんで、もう15年くらい前にいて、でまた他の店舗に行って、でまた最後湯島に戻ったんで。

小さい頃によく連れていってもらいました。おじいちゃんもすごい仕事人間だったんですけど、何かこう勝負事というか、そういう時には必ずデリーのカレーを食べるとか。 縁担ぎみたいな、すごいですよね。。

すごいです。前久しぶりに東京に帰った時に、嫁さんがまぁ実家が東京なんで、そのついでにちょっとデリーに寄ったんですけどもうずっと並んでましたね。 もうすごい並んでて、声掛けんのも悪いかなと思って、ほんと挨拶ぐらいにして、それで帰ってきました。2時ぐらいやったんですけど、ぜんぜん並んでましたよ。

卵と牛タン?

今月のカレーをお願い致します。

まだ決まりきってないのもあるんですが、盛り付けとかも、ちょっとなんですが。変わることはないと思うんですけど…

それポテトサラダですか?

いや卵です。

卵ですか??これ変わるんですか、これは何カレーになんですか?

牛タンのカレーです。どちらかと言うとスライスのタン塩みたいな…まぁタンにカレーを絡めてるっていう感じですね。

うーん、おいしそうです!

でも、カレーが強いんですよ、で、それをこうちょっとマイルドにさしたっていう、で卵を。

すごい…フランスでは料理が家庭を、ファミリーを作る料理っていう言葉があるんですけど、温かい料理のことをそう表現することがあるんですけど、なんかそういう印象を受けます…とても温かいお料理の気がします。卵っていうのはどうしてアイディアになったんでしょうか?

形状とかそういうことですか?まぁ最初ゆで卵とかカレーの中に入れようかなとか、そういう風には考えていたんですけど…多分カレー寄りの味に、たぶん卵もカレーの味が付いちゃってるだけみたいな感じになっちゃうんで…全部カレー味みたいな。そうじゃなくてどうすればいいのかなと思って、卵自体にもうちょっと味を付けて、一緒に食べてもらう形になったんですよね。

そのお味はちょっとお聞きしてもよろしいですか?

でも一般的なあれですけど、マヨネーズとかヨーグルトとか、なんかそういうなんて言うんですか、卵サラダみたいなかんじです。

あ~そうなんですね。あまりにも、とても良い香りで、言葉が出て来なくなっちゃって…すみません(笑)
こちらのベースはなんですか?

玉ねぎとニンニク、しょうがを入れてます。今回トマトを使ってないんで…でまぁ代わりに酸味はタマリンド入れて、あとは木の実ですね。東南アジアとか、多分アフリカ圏でも採れる木の実があるんですけど、それを使ってちょっと酸味をだしてるんです。

そうなんですね。面白いですね。

カレー自体は辛いです。どちらかというと男性向けやと思いますね。

しっかりコクがあるんですね。牛タンって一般的に言うとトマトで煮込んだりとかするお料理になると思うんですけど… どうして今回はそちらの木の実を使おうと思われたんですか?

どうでしょうかね~。トマトも確かに考えたんですけど…うーん難しいですね~。

トマトが上にかかって

はい、それはもうアクセントとして。

まぁ高い食材使ったからって
金額は高くもらおうという風に
考えてはいないので、
庶民的なものを使ってカレーを
作りたいなっていう
思いが強いので

牛タンカリーって、金額が高そうなイメージがあります。

うーん、高いですね。多分そういった場合は大きいのが…だから自分も普通、それもあってなかなか素材として使うのも難しいなと思っていて、まぁ高い食材使ったからって金額は高くもらおうという風に考えてはいないので、庶民的なものを使ってカレーを作りたいなっていう思いが強いので、高くなって1500円取ってもうたら、なんか違うような気がして…だからなんか牛タンの中でも抑えれる…全然悪いとかそういのじゃなくて、、今回の場合は、煮込みに使えるものを使っています。

スパイスってどれくらい入ってますか?

種類ですか?10種類くらいですかね。

本当に牛タンのおいしさが生きてて、ほんとに言葉が出て来ない…すいません(笑)ヤダ、言葉が出ないことに焦りを感じて。じゃあ卵を絡めていただきます。どうして本当に卵を合わせようと思われたのかしらって思うくらい卵がとっても合ってます。

本当ですか~それは嬉しいです。自分の中でもあんまり合わしたことなかったので、どうかなと思いながらやってる部分はやっぱりあるので。

なんか最後に喉通る時に鼻から抜ける香りも、全然最初に入れた時と違ってやっぱりすごい素敵です。なんか口の中でどんどん変化が起きるのが楽しいです。すごい…なんかすいません…ありがとうございます。

ありがとうございます。

パクチーですか? (こっちは)何の葉っぱですか?

パクチー入ってますよ。カレーリーフ、バンタンリーフっていう…カレーリーフって結構南インドとか東南アジアとかで使われてる葉っぱなんです。

お米厳選されてますか?

オープンする時に何種類か持って来てもらって、それでカレーに合うっていうので選んだんで、そっからはそのお米をお米屋さんに頼んでます。

寄りな感じで
お願いします…

国で言うたら何カレーですか?

スリランカカレーですかね?スリランカカレーをがっつりやってはるお店さんとかもあるんで、どちらかと言うとアレンジが入ってるんで、スリランカって言っちゃうとあれなんで、寄りな感じでお願いします… あえて言うならぐらいな感じです。

ご旅行とか行かれますか?

最近は行ってないです。お店始める前は行ってましたけど、まぁデリーで一緒に働いてた人間があの~インドに帰ったりしてるんで。そこに尋ねていったり…なかなか今は行けてないですけどね。

なんか聞いたお話しなんですけど、インドで食べるはカレーは、日本でいただくよりも…素材の味を大切にした、なんかあっさりしてるってお聞きしたことがあるんですけど

そうですね。それこそ食べやすいですし、まぁ食べるとこにもよるんですけど、しっかりしたレストランとかだとデザートも外食っぽい味、食堂とか町の食堂とかだと、毎日来るところなんで、毎日でも食べられる味、あっさりというか食べやすい感じにはなってますね。

アイディアの源泉について教えていただけますか?

どうですかね。食材はまぁ季節感でやってたり具材とか、まぁ時期的な部分もありますし、結構今は色んな…野菜を使ったりとか、今回はお肉を使おうとか。そういうものも兼ね合いながら、1ヶ月終わって次考えるくらいのペースなんですね。そのずっと先まで考えるわけじゃないので、だから…今月これやったから、今度はこれでしてみようみたいな、、
最初はほんと思い浮かんだのをちょっとやってみて、それをどんどん進化していくっていう感じなんです。

面白いです。例えば、インド料理以外のアイディアも何か含まれているような気がして。

そうですね。インド料理…もちろんそのまま教えてもらったインド料理を、そのまま出すっていうのもひとつなんですね。まぁそういう風にしてやってきたのもあるんですけど…やっぱりこう、自分が捉えた、例えばカレーじゃない料理から、こういうのをカレーにしてみようかとか、カレー寄りに持ってきたらどうなるかとか、そういう風なところから来るものも結構ありますね。ほんとにカレーっぽくないって思われるかもしれないですよね。

カレーって全てのバランスがとても重要だと言われているのを聞いたことがありまして、例えば建築というか、綿密に設計をされているというか、料理をしていく段階で手順をとても気を付けていることがありましたら教えてください。

そうですね。基本的には手順というのはあまり変えはしないんです。どんなカレー作るにも、ベースに結構沿っているっていうところはあるので、他は何か具材を変えたりしたりするのが多いので。だから、そこはあんまり変えないっていうのは自分の中ではあります。順番的にも、時間的にもそうですし、玉ねぎの炒め具合とかもそうですし、まぁ具材によって若干は変えますけど、そこらへんは多分ほとんど決まってるんで、そこをを変えちゃうと、なんかもう自分のカレーがこう…ぐちゃぐちゃになっちゃう。自分で作ってて何作ってるか分かんなくなっちゃう感じです。

スパイスは扱う方によって香りを生かすことも、そして無難に終わらしちゃうことも出来るというようなことを聞いたことがあるんですけども。その、スパイスはとても難しいと聞きまして。。

それは今でもとても難しいです。。どれが正解なのかというのが、明確なのが多分ないんですよね。例えばこのスパイスやったらこれくらいの火を入れた方が香りが出やすいとか、煮るスープで香りが出にくいとか、あと順番もやっぱりあるんで、でも自分でやってて多分こうだろうということでしか、やってないので。
多分これが答えですっていう本みたいなものではないんで。
だから難しいなと思いながらやっています。

ぜんぜんわからない
から知りたい

奥が深いです。カレーって家庭でも一般的に小麦粉の入ったルーのカレーってよくいただくと思うんですけど…ほんとに身近にあってとても繊細な食材だと思います。鈴木さんが最初にカレーに出会われて印象的だったことってありますか?これを仕事にされようと思ったきっかけを教えてください。

カレーを仕事にしようと思ったきっかけですか?
そうですね。自分でカレー屋さんとかインド料理屋さんとか学生時代に旅に出たりして。でまぁ味、スパイス?が全然分かんなかったんです。でもそこからなんですよ。分かんないから知りたいなと思って、でこう知っていくうちに自分の中で出したいと…やっぱこうアレンジが出来るじゃないですか、自分の色が出せるっていうか。それをこうどんどん進んでいきたいなっていう風に思ったのは多分そこなんですよね。

バランスが取れた
カレーって

鈴木さんにとって、おいしいカレーってどういうものになりますか?

自分が作ってておいしいカレーですか?自分が食べておいしいカレー…どっちですか?自分がカレー自体を捉えていけば、バランスが取れたカレーっていうのはおいしく感じるんですよね。多分ここで何かが抜けても変わってもだめだろうし、多分素朴な素材でそれが出来上がっていると思った時にすごいおいしいなと思いますね。なんかこう色んなのが入っててっていうよりも、ほんとに多分1番シンプルななんか野菜のカレー、野菜1つのカレーであったりとかが、おいしいなと感じる時がありますね。あとは、色んなカレー屋さん行っておいしいなと思うのは多いんです。多分それでも…食べて…頑張ろうとか、元気が出たとかでも良いんですけど、そういう気持ちになれるものであればおいしいなと思うんですけど。
そういう風なカレーは作っていきたいとは思います。

スパイスは食材の
ひとつとしてのスパイス

ほんとに私は全く素人なんですけど、カレーがテーブルに置かれた瞬間まず最初に鼻に入ってる来る香りがあって、次に口に入れた瞬間に香る香りがあって…なんか香水と似ているなと思ったんですけど…そして飲み込む時に上がってくる香りもあって、スパイスカレーの種類によっては全部違うように感じる時があるんですけれども。そういう事も考えてお作りになられてますか?それともスパイスがなんかこうマジックみたいなものになるんでしょうか?

まぁスパイス。今の答えになってるか分からないですけど、スパイスのことばっかりをあまり考えないことです。スパイスのバランスもそうなんですけど、食材の中の1つとしてのスパイスというのがあるので、例えば玉ねぎであったりトマトであったり、お肉であったり、そういうものの旨味とかのバランスでスパイスが、、ひとつの食材なんです。だからそこがバランスよく出来てるっていうのが、結構こう自分の中で重要視している。もちろんスパイスがこう、立つっていうのが自分の出したいところではあるんですけど、逆に…まぁ自分でいうのもあれなんですけど、スパイスが立ちすぎて他のものが全部消えてしまえばなんかちょっと違うのかな?って感じる部分もあります。全体的な1つとしてのスパイスっていう捉え方が1番っぽいですかね。

最後にこのカレーを一言でいうと?

ハンサムなカレー。(by YOSHIKO ITO)

インタビュー:YOSHIKO ITO